シャルルマーニュ 開発日誌 その2

第二回ですね。発売はいつになるのだろう。書き手は前回とおなじ Tobias Bodlund 。内容はオリジナルの王国、年代記、暗殺の変更点について。

先取りで言ってしまいますが、オリジナルの王国とはたんに王号に好きなタイトルを採用できるということではなく、全く新しい(史実にない)王国を建設できるということでした。これは楽しみ。よく考えてみると、例えば、後年フランス一帯がフランス王国の正統な領土であるとみなされるようになったのは、西フランク以来の支配という歴史があったからなわけで、西フランク以前の時代に「フランスの正統な領域」が決められいて、それに従わないといけないのは不自然ですよね。ゲーム的に面白いかどうかは別ですけど。


シャルルマーニュでは、ランクアップを望むとき、マップ上で予め設定された王位や帝位に縛られることはなくなった。どんな公爵でも十分な領土と威信をもっていれば、いつでも王であると宣言できる。新王国は最初は de jure な領地を持っていないが、時とともに得ることができる。同じように強大な王は新帝国を宣言できる。その場合、名称と紋章はそれまでのプライマリな公位や王位のものを引き継ぐ。

この特徴は、プレイヤーが世界を形作るための新しい道を開くものだ。そして君は、特定のキャンペーンで展開する特別なイベントを通して、新王国が勃興するさまを目にするだろう。これにともなって Mod 製作者にはイベント、ディシジョン、ヒストリーファイルを用いて、どのタイトルの紋章でもダイナミックに変更できる新たなサポートが与えられる。

もう一つはCK2に実装したいとずっと考えていたものだ。君は長いキャンペーンを通してプレイし、自身の王朝の壮大な物語を紡ぐ。その物語を、後になって振り返ることができ、ゲームが終わったあとも残しておけるような何らかの記録に残せたら素晴らしいと、私達はずっと感じていた。これが王朝年代記を加える事にした理由だ。

年代記はプレイ中の人物に起きる重要な出来事をすべて記録していく。誕生、結婚、戦争、死去、重要な決定などだ。またモンゴルの出現や十字軍、バイキング時代の始まりのような主要な世界的イベントも記録する。

年代記はゲーム内のインターフェースでいつでも参照できるし、保存したり友人とシェアするためのテキストファイルとしても出力できる。君はそれを飾り文字で整え、カラーで印刷して見せたくなるのではないだろうか。

最後は暗殺について。これは無料のコンテンツで、このDLCを持っていなくても適用される。主要な変更点は2つだ。

まず最初に、外交アクションとしての暗殺は廃止された。CK2に陰謀を導入して以来、互いに無関係の異なる2つの暗殺システムが存在していた。クリックひとつで暗殺できるシステムはここ数年のゲームの進歩を考えると、正直に言って時代遅れとなっていた。今後は暗殺のためには適切な陰謀を立ちあげなければならないが、そのほうがゲームプレイももっと面白くなるだろう。

もう一つの変更は、君の命をねらう人々から身を守るための方法を加えたことだ。今後は「身を隠す」という新たなディシジョンが加えられる。それによって望む間だけ大衆の目から身を隠すことができ、暗殺の成功率を大幅に低下させられる。このディシジョンは君に対する暗殺の陰謀が明らかになった時、あるいはそれが疑われるときいつでも実行できる(もちろん君は誤ることもあるかもしれない。だが妄想にとらわれていたとしても、本当に誰かに狙われていないとは限らないのだ)。この新しいシステムには関連したイベントがいくつかある。

また配偶者や子どもたちを隠れ家に連れてゆくこともできる。もし彼らが領主でないなら、君の宮廷に匿われ、暗殺に対する十分な抑止力を与えられるだろう。君や家族はいつでも好きなときに隠れ家から出ることができる。

だが長期にわたって城の隠れ家に篭もることには代償がある。宮廷を掌握できないことで、外交力にマイナスの影響があるし、家臣の忠誠を失う。さらに祭りやトーナメントを開催できず、旅行も、軍を率いることも、あるいはその他の隠れ家を出て危険な世界へ踏み出さなければならないあらゆることが実行不可能になる。隠れ家に篭もることには他のリスクもある。長期にわたって孤立した生活を送っている人は時々こうよばれている……なんと表現したらいいか……ともかく性格に与えるある種の影響で苦しむということだ。まあきっと問題ないだろう!

シャルルマーニュ 開発日誌 その1

開発日誌の第一回が来ました。書き手はスクリプターの Tobias Bodlund


僕らは多数の新文化を追加した。その一部は The Old Gods で加えることもできたが、769年まで遡ることで、中世初期の文化景観の変化をうまく表現するために、いよいよマップを書き換える必要があると確信できた。

スペインには西ゴート人がおり、しかも彼らはゲルマン系ではなくイベリア系である。なぜならゴート族の大移動はずっと前に終わっており、6世紀初頭からイベリア半島に居住しているからだ。西ゴート人のプロヴィンスは時間とともに、場所によって、あるいは支配者の宗教や文化によってカスティリア、カタロニア、アンダルシアなどに変わっていく。またイベリア半島北西部には古ゲルマン人のスエビ族がまだ居住している。彼らにも文化的変化のイベントがあり、ポルトガル文化の勃興を目にするかもしれない。北にはフランク人がいる。彼らは依然としてゲルマン人ではあるがラテン化が進んでいる。彼らも「フランス」と呼ばれるようなものにゆっくり変わっていくだろう。

他に追加されたのはザクソン、ロンバルド、ピクト、ソマリだ。またロシア人はまだおらず、そのかわりに様々な東スラブ系の人々、Ilmenians、 Severians、 Volhynians らがいる。さらに他の地域でも文化の変容を再検討した。たとえばノルマン文化は以前よりいくぶん生じやすい。

宗教については、古いノースの宗教はゲルマンと呼ばれることになる。そうすることに決めた理由は、新しい開始年ではこの信仰がノースの地域を超えて広がっていること(特にザクソン)と、文化としてのノースと紛らわしかったからだ。

南に目を向けると、イバード派は独自の宗派となり、スンニ派の異端ではなくなった。またシャルルマーニュキャンペーンだけに存在するあたらしいパガン信仰も加えた。それは太陽神 Zun を信じる人々で、史実的にはアフガニスタンの Zunbil 朝の人々だ。彼らはムスリムと仏教徒に囲まれており、ユダヤ人と同様、面白いが非常に難しい状況で始まる。

ノースについてもう少し話すことがあった。新しい開始年ではまだバイキングの時代は始まっていない。これはノースが海をわたって襲撃できないということだ。つまりゲームの初期にはもっと自分の周囲に気を配らなければならなくなった。しかし数十年のうちにバイキング時代は始まり、大陸の人々はノースマンたちの怒りに怯え始めるだろう。

最後に8世紀の帝国を見てみよう。ビザンチン帝国は、歴史学者が「偶像破壊運動」と呼ぶものに巻き込まれている。つまり皇帝と貴族(とエリートの大部分)はイコノクラストであり、イスラムと同様に偶像崇拝は非難されている。皇帝には(専用のディシジョンを通して)イコノクラズムを守り続けるか、放棄するかの選択肢がある。

一方、アッバース朝は巨大な塊であり、8世紀当時には東はインダスから西はマグレブまでを支配していた。だが支配というのは場合によってはミスリーディングである。実質的に彼らは、名目上の家臣の多くに限られた影響しか持たなかったという事実を反映して、いくつかの地域は独立勢力とした。しかしカリフはそれらの地域に対して多数の de jure CB を持っている。

フランク帝国ではピピンの死後、シャルルマーニュとカルロマンが共同王位を受け継いだ。そして王国の一部をそれぞれが直接統治している。ゲームではこの兄弟がそれぞれの王位を持ち、また互いの王位に対してクレームを持った状態として表現した。ロンバルドやウマイヤ朝やザクソンのような強力な隣国がいることでこれは面白い状況を作り出すかもしれない。まだ明かしていない期間限定イベントもあり、このように769年は後の開始年とは大きく異なった世界だ。神聖ローマ帝国(君自身で作ることができるが)やバイキング、ノルマンもロシアも、まだ誰も聞いたことがない世界だ。カロリング家の人間さえまだ少数なのだ。


 

AoW 開発日誌 その2

 

日誌の第二回が来ていましたが放置気味でした。粗く訳。原文はここ


マルク( Marches ):マルクは既存の属国( Vassals )から生成可能な新型の従属国だ。属国をマルクにすると強大な軍役と引き換えに相当な自治を与えることになる。マルクは税を収めず、外交的に併合することもできない。

そのかわり25%のマンパワー、30%のフォースリミット、20%の防衛ボーナスを得る。彼らは敵国との有能な緩衝地帯となってくれるし、あるいはその地方からの税金よりも兵士が必要なときに役立つ。マルクの地位は取り上げることができるが、そうすると安定度とその属国のオピニオンにおおきなマイナスペナルティがかかる。

Unrest と反乱:古い反乱リスクシステム(毎月ランダムに反乱部隊が生成された)は終了した。それはEUシリーズを通して活躍してくれたが、より良いシステムがあると感じていた。新しいシステムは Unrest と呼ばれている。Unrest は当該プロヴィンスの陸軍と艦隊の生成速度に影響を及ぼすが、経済には直接の影響がない。その部分をカバーするために地方自治システムを導入した。

すべてのプロヴィンスにはひとつの反乱派閥( rebel faction )があり、それぞれのプロヴィンスでは月ごとに、( Unrest レベルに基づいて)暴動プログレスが増加する可能性がある。プログレスが100%に達するとその反乱派閥を支持する多数のスタックを伴って、反乱軍が挙兵する。プロヴィンスの Unrest 値は減少する。彼らをどう始末するかは君次第だ。

Unrest はどこでも生じるため、裁判所を建てたり、神学者を雇用することは一般的な良い戦略だ。大衆を沈めるための政策もいくつかある。おなじみの暴君的な Harsh Treatment は今後はプロヴィンスではなく反乱派閥を対象とする。MILポイントを消費して、特定の反乱派閥のプログレスを減少させる。

この変更は、マイクロマネジメントを減らし、プレイヤーが直接に大衆の満足度をコントロールできるべきだと考えたからだ。また反乱が成功した場合、要求を受諾するケースと、要求を強制的にのまされるケースとで違いがなくなった。反乱派閥の要求は常に同じである。ポジティブな変化について述べると、君に友好的な反乱部隊は(文化的にであれ支援を受けている場合であれ)戦場の霧を払う視界を提供してくれる。

以下ペルシャ地域の変更について(省略)